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生産革新活動

生産革新活動

活動前の状況

会社概況

太陽電機株式会社は1970年に設立し、以来多品種少量生産を主体に各種電源装置の製造を行ってきた。安定した仕事量と好況により順調に拡大してきたが、その安定感から世の中のもの作りの急激な変化に気が付かず、バブル崩壊を迎えてしまった。

売上減少対策としての「生産性向上活動」、世の中の生産革新を知り、本当の意味での多品種少量生産体制を目指した「改革改善活動」と社内活動を試したものの十分な成果は得られず、行き詰まりを感じていた。

その間に民間設備投資の冷え込みや海外への生産移管により、2001年度の売上高は半減と急激に落ち込んでしまい、また生産拡大による新工場への投資も経営を悪化させていた。取引先の新規開拓・経費削減運動等取り組んだが、2002年度は6月のスタートから非常に厳しい状況であった。

現場の問題点

工場レイアウト、管理の仕組み、従業員意識等に下記のような問題を抱えていた。

  • 工場レイアウトは価値を生まない歩行、運搬、取り置きのためハンドリングが極めて大きかった。
  • 各工程をつなぐ通路区分が不明確で、物の置き方の仕組みが出来ていないため、動線を複雑にして無駄な作業が多発していた。
  • 「動き」が「働き」にならない付加価値生産性の低い、緊張感・スピード感が希薄なマイペース現場になっていた。
  • マネジメントの悪さから必要以上の負荷を投入していたため、納期対応のための残業が日常茶飯事に行われていた。

活動経緯・概要

活動経緯

そのような折り、2002年8月に、テクノ経営鰍ノよるVPM改善活動の指導を頂く機会を得ることができた。VPM(value producing management)活動とは、全従業員が参加・協力して知恵と工夫により徹底的に無駄を廃除することで、生産性を向上することが出来る企業体質改善活動である。当社にとって願ってもないチャンスだった。

こうして当社は「生産革新活動」を開始することになった。

活動概要

財務状況の悪さの原因は 、

  • 外注加工費比率が高い
  • 付加価値が流失
  • 労働生産性が低い
  • 従業員が有効活用されていない

などであり、人の行動の悪さが

  • 製造リードタイムを長くし、
  • 原価を高くし、
  • 経営を悪化させていた。
人の行動を変えることによって費用構造改革し、世の中の変化に適合する会社に変革することが必要であった。
VPM活動とは、
基本展開として部分最適を追求する社員参加型のC(change・control・challenge)改善と、全体最適を目指すプロジェクト型のD(design)改善があり、仕事と一体となった全員参加の改善活動である。C改善による日常の徹底的な無駄廃除で効率化を追及し原価低減・製造リードタイムの短縮と少人化を図り、D改善によりC改善の効果を経営の価値に変えていく仕組みである。

活動目的・目標

目 的

  • 海外生産化が加速するなか、国内製造会社として生き残っていくため、旧態依然のマンネリ化した会社を、日本にしか出来ない製品に対応しうる魅力あふれる会社へ大改革を図る。

目 標

  • 製造生産性 130%
  • 製造リードタイム 1/2
  • 原価20%低減

狙 い

  • 高付加価値の追求
  • 多品種少量・変種変量生産への対応
  • コスト低減、短納期化への対応
  • 多能工の育成

推進体制・活動スケジュール

「生産革新活動」を実効ある活動とするために推進メンバーを決め、全社的な活動とした。管理職はD改善協力メンバーならびに、C改善の支援役として活動に参加し、C改善は監督職を推進リーダーとし11チームが活動することにした。

  • 活動期間:2002年9月〜2003年9月(13ヶ月)

改善開始に当たり、マスタープランを作成した。2002年10月中旬に全員参加でキックオフ大会を開催し、11月末より月次推進会議にて活動事例および成果を発表することにした。

活動内容@

意識の改革

無駄取りの変化に強い思想と技術を学び、無駄を無駄と認識し、人の生産性を考え、人の仕事の無駄を取る。やり方についての徹底的な無駄の廃除が出来る人づくりから始った。

大掃除の実施

現場改善は、まず始めに2S(整理・整頓)のための大掃除を9月末に実施した。部材と仕掛品が工場・外部倉庫を埋め尽くし倉庫化した工場で作業しているような状態から

  • 工場内にある過去からの不要物を全て廃棄し、要る物のみを配置することにより物の流れ、人の流れが見渡せる工場にし、改善の出来る基盤を作ること。
  • 外部倉庫を解約し純利益を創出すること。

を目的とし、赤札作戦による要る物と要らない物の分別、ならびに要らない物の処置方法・期限を明確にし、いるのもに関しては仮定置化を進めた。この大掃除により改善のできる基盤が整い、また省スペース化により外部倉庫は全て解約することができ、活動期間中で5,300千円の経費削減となった。

工場内の整流化

次に工場内が部材の投入から製品の出荷まで淀みがあり問題(無駄)は埋没してしまっている状態を、川の流れのように淀みなく流れるようにするため、11月にD改善「レイアウト改善プロジェクト」を立ち上げ、清々とした流れを作り問題が顕在化し、生産革新が推進できるよう工場レイアウトの変更を実施した。またC改善による効率化の進捗により都度工程再編成を行っていった。

活動内容A

STEP1〜STEP7の7段階に渡り改善活動を推進した。

STEP1 改善対象の明確化

「PQ分析」を行い、生産量・生産額で見て生産頻度が高く水平展開のカバー率が高い製品を改善対象とした。

STEP2 改善領域の明確化

「製品工程分析」を行い、改善対象製品の流れと工程の節目を掴むと共に、工程バラシを行い作業単位に4つの記号に区分けし問題の顕在化を図った。

STEP3 「生産性向上改善進捗管理表」の作成

製品毎の「生産性向上改善進捗管理表」を作成した。

STEP4 部分最適:効率化の追求

IE手法による作業工程分析・流れ分析とアイディア発想法により製造生産性130%を追求した。

STEP5 工程再編成

改善された標準時間通り作業していることを「連続稼動分析」・「連合作業分析」で確認した。さらに効率化によって発生する工程間の余裕を少人化することにより稼働率を高め、工程の結合(セル化)・仕掛品の削減により原価低減・リードタイム短縮へつなげた。

少人化によって創出した余力である活人と工程間の締め・仕掛品の削減によって創出した活スペースを生かして付加価値創出のための外注品を取り込み経営効果につなげた。

STEP6 横展開

「横展開表」を作成し、改善対象外製品に横展開することにより更なる効率化を追求した。

STEP7 負荷設計・負荷投入

人・物と情報の同期化を図るための生産・工程管理の仕組みの構築を目指し「情報の標準化プロジェクト」を立ち上げた。マーケットインで生産していくため、出荷計画から遡って部材引取〜出荷までの生産計画を立案していった。

生産計画から製作ロット毎の1週間単位の工程計画へ、さらに一日一日の作業者の生産計画へ落とし込んだ。この仕組みにより保有対負荷の管理を行い、事前の負荷の山積み・山崩しを計画できるようにした。また中間プール制度を導入し余力ができた場合は、過負荷の部署に応援することにより残業吸収を図り原価アップを防いだ。

活動成果

活スペース創出

  • 大掃除の実施、レイアウト改善プロジェクトによる工場内の整流化、工程の間締め、中間仕掛品の廃除、流し方の改善により活スペースの創出ができた。
  • 大掃除を実施し、不要品の廃却ができ、小型製品梱包材の一週間サイクルの手配運用による仕掛減少により、外部倉庫費を削減することができた。原価低減につながった。

付加価値向上

C改善活動によって創出された活人24名、活スペース384坪を有効活用し、変動費を低減させて付加価値向上を図り、経営体質か改善するためにD改善「付加価値向上プロジェクト」を立ち上げた。仮想製造五課を設立し、全社の活人をプールした。(中間プール制度)

  • 応援キップ制度により過負荷部署へ応援を行い、残業を吸収させた。
  • 構内物流構築のための水すまし役として活用した。
  • 製造五課(活スペース)に付加価値取り込みラインを新設し、外注品を取り込んだ。

以上により、

  • 残業吸収により変動費低減
  • 外注品取り込みによる付加価値生産高の増加
  • 変動費の低減

へつながった。

総合効率

効率化を進め、少ない人と限られた時間投入の中で、いかに付加価値を多く獲得できたかの指標(ものさし)を総合効率(労働生産高÷総投入工数)で表した。稼動日数により左右されている部分は有るが、確実に右肩上がりの傾向が見られる。

経営価値の創出

さらに費用構造を改革できたことによって、損益分岐点が改善前に比較し28.6%低減することができた。従来の売上依存型から利益重視型へ考え方を改め、収益力のある経営基盤を構築した。

  • 固定費 改善前 → 5.9%低減
  • 変動費 改善前 → 20.2%低減

今期(2003年6月スタート)からは賞与引当金を予算計上し、改善活動による従業員への還元・さらなる効率化への動機付けを図る。まだまだ安定した利益の確保ができていない。効率化による余裕が遊びに変わってしまい充分に利益創出に結び付いていない。

反省と今後の展開

やり残したテーマを完結させるとともに標準化と維持管理について下記の通り取り組む。

  • 作業時間分析・連合作業分析により、標準時間通り作業できるかどうか確認する。
  • 綿密な工程計画・作業計画により、サイクルタイムから時間単位の目標を与え管理できる基盤を作る。
  • 現場で進捗が分かるように現場を可視化する。

さらに部分最適の完成度を高めていくことが必要である。また全体最適の経営の価値に変える部分が未だ充分とは言えない。今後は部分最適における更なる効率化を図りながら、会社全体をコントロールする仕組み、管理の仕方・物の置き方の仕組みを構築し、全体最適を目指していく。これまでの部門内同期から部門間同期へ、さらには社外上流工程・市場との同期生産を図っていくことが必要不可欠である。

「生産革新活動」によって会社存続の危機から脱しつつあり、改善活動を継続することで経営体質改善することができることを身をもって知りました。今後は月一回の指導となるため、改善活動の仕組みを構築しいかに自主活動が展開できるかが成功への鍵となる。管理・監督者がリーダーシップを発揮し、改善を活性化させ経営体質の強化を図っていきたい。

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